第6章

絵里視点

S市の工業地帯、人気のない通りを走る和也の車に、私は煙のような霊体となって寄り添い、後を追っていた。

真夜中を過ぎ、彼が車を走らせてから二十分は経っていただろうか。その集中の仕方から、彼にははっきりとした目的地があることがわかった。

彼が老朽化した倉庫の前で車を停めたとき、私は死者であるはずの身でありながら、ぞっとするような悪寒を覚えた

「真実と向き合う時間だ、この臆病者め」彼はそう呟きながら、通用口の鍵を開けた。

(真実って、何のこと、和也?)

倉庫には錆と、打ち捨てられた場所特有の匂いが充満していた。和也は影の中を進んでいく。

一番奥の隅で、彼はごく普通...

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